2-6.AKASHINA

 Fomula highpowerd機はどれも非常に斬新な形をしているが、このAashina機は遠目で見ても他のマシンとの差別化が出来るほどの特徴ぶりである。エンジン、流体、重量…どれをとってもFomula highpowerdレースにおいて「優勝」を念頭に置いているとは思えない機体思想。
 果たしてAkasihaチームの求めるものとは如何なるものなのだろうか?
明科重工力学総合研究所

 Akashinaの母体は、明科重工力学総合研究所と言われる所である。即ち、この研究所=ドック と言ってしまっても過言ではない。
 Akashinaの設計思想は、すべてこの研究所で考案されている。その設計思想とは、ズバリ「新素材の耐久・性能試験」なのである。
 明科重工は、世界的 にも有数の宇宙用素材、最先端マテリアルメーカーである。そして、その試験場として、この Fomula highpowerdを使っているに過ぎない。 実際には機体デザインに於いても同様で、このような形状になっているのは数々の試験を行う為である。何の試験のためにこのような形になっているのかは厳密には断定できない。ただ、 一つヒントとして挙げられることは、Akashinaが2013年の第3期宇宙開発計画において、長距離光速航行型スペースシップ部門の、機体全般メインディストリビューターとして選ばれ たという事がある。
 これらの事からもお分かり頂けるかと思うが、Akashinaの特記すべき箇所は、エンジンなどではなく、殆ど壁面素材、フィルターなど、他のチームに於いてはそれ程重要視されないところばかりだ。逆に、エンジンには殆ど力を入れていない。それは、バイリアス重工のB−3とい う、いわゆる一世代前のエンジンを使っているという事からもお分かり頂けることと思う。
外壁素材:繊維性消波コーティング「code:Glassize」

 Akashina機の機体がどれ程の重さであるかをご存知だろうか?大きさでは、Xenum機に次いで 2位である事は視覚的にもお分かり頂けることと思う。しかし、重量に於いてはVelvet works そしてFORKNERを抜いてGUST機に迫る勢い−全機体中堂々5位−なのである。 理由としては、エンジンに軽量型B−3を使っているということもあるが、ボディーを被う外 壁素材の材質に依るところも非常に大きい。こと、Akashinaのような巨大な機体において、 これほどまでの軽量化を図れるのは、ひとえに外壁材の影響が大きいのである。
 Akashinaは、開発ネーム「グラシーゼ」と言われる同社製外壁素材を使用している。これは宇宙開発用に創られた素材で、超軽量、そして遮断波動を自由に選択できるという特徴を持つ素材だ。
 宇宙空間に於いて、宇宙線と呼ばれる放射線は重点的な課題の一つだ。それらの波長を 非常に薄い素材ですべてうち消す事は、宇宙素材としては理想の形である。それを実現しつつ あるのがこの素材なのだ。
 この素材は、繊維製の金属コーティングである。原理としては数μm 程の特殊な金属線を布のように織り込んでいる核部分、そしてそれを被う特殊耐熱コーティン グ、そして対衝撃コーティングで施されている。特に重要なのが、この核部分の繊維性の部分 であり、この核が、ある特定の波長を微振動でうち消す力を持つのである。これは、放射線の みならず、電磁波に対しても有効であり、今回のAkashina機のように電波をうち消してしまう、 即ちステルス性素材としても有用なものである。

フローターユニット:MagneFork-γ

 Akashinaのフローターユニットは、他チームのマシンのそれとは一線を画している。それは、完全非接触型の「セパレートディスパーズ」という方式を採用している事に挙げられる。
 セパ レートディスパーズとは、簡単に言ってしまえば、フローターユニットを回転させるだけのエネルギー源が、メインエンジンとは全く独立の物として存在する機構である。そして、超伝導 方式の非接触型回転をしている。実際にはこれらの回転機構(駆動部)と被回転部(フローターユニット)が同一の物であることから、簡単に「自転式」と呼ばれる事も多い。即ち、フロ ーターユニット自身に設置されている磁場と、その側(ケース)に設置されている電磁場によって回転させているのである。
 エネルギー効率は非常に良く、少ないエネルギーで最大の回転数を得ることが出来る。しかし、欠点としては、エンジンとの完全分離をしているために発生 する同期処理(エンジンとフローターユニットの、出力に関する微調整)を、それ専用のOSで行うほどの複雑な処理が必要となってくること、そして必然的に重量は若干重くなるという 事である。しかしAkashinaにとってはこれらもすべて計算づくで考えられた設計なのである。ここに、最先端技術者集団の本領が発揮されていると思って止まない。

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