2-4.FORKNER

 FORKNERはVelvet worksからの分派である。
 前身はVelvet works内の1プロジェクトチーム、 「Velvet forkner」。自らの力を試すため、Velvet worksから分派したFORKNERには、一体どのよ うな戦略が有るのだろうか。
エンジン:A-max AM-De 313i

 A-max社製のエンジン、AM-De 313iを搭載。
 このエンジンは一世代前のエンジンであり、Velvet worksの往年の名機「V38」に搭載されていたものである。お世辞にも高性能・新型エンジン とは言えないものであるが、このエンジンをFORKNERチームが求めた理由は、経済的な問題と、馴染みの問題である。特に後者はチーム内で重要視された点であり、元々Velvet worksに在 籍していた者達にとって、A-max社製エンジンは自分の手足のように使いこなすことが出来る ものだからに他ならない。
 さて、このエンジンの機構について説明していこう。AM-De 313iは、今でこそ「往年の」名機 となっているが、当時は数々の新性能・新記録を出した偉大なるエンジンである。現在のA-maxエンジンはラム・ターボジェット推進を基本としているが、その原型はこのエンジ ンに有る。A-max、いや、Fomula highpowerd史上初のハイブリッドエンジンなのだ。
 現在の最 新鋭であるFoxtrotやdeltaに比べると、様々なところに黎明期の作品であることを裏付ける要素がある。まず、ラム・ターボ変換がノン・インバーター(段階式)であること、そして、その切り替え自体も、パイロットの半手動であることである。即ち、思うように加速が上がるも上がらないも、すべてはパイロットの腕にかかっているのだ。しかしそこは元Velvet worksの一流のパイロットである。このエンジンの酸いも甘いも知った者に、それしきの勘はもはや当たり前のレベルなのだろう。

ブースター:A-max AM-Xp 313f

 FORKNERのマシンには、他の機体には存在しない、ユニークな機能が付いている。それは、ブースターユニットといわれるものである。
 ブースターユニットとは、一時的にエンジンの補佐を し、見かけのエンジン出力を上げるものである。現状のFomula highpowerdレースにおいて、FORKNERチームは腕に関しては申し分ないものを持っているが、如何せん控えめに見てもエンジ ンは旧式であり、ハンデと言わざるを得ない。しかし、新エンジンの買い取りともなれは、Velvet worksの様な老舗の大チームであっても、相当慎重になるほどの高額の出費となる。そこで、もっと経済的に、そして、最も効率の良い方法はないかと編み出されたのが、このブースターユニットの増設である。
 現状のブースターユニットに落ち着くまでに、幾つかの選択が有った。最も大きかった選択肢の一つに、ブースター駆動タイミングの選定があった。即ち、エンジンの補佐をするブースタ ーにおいては、エンジンと同じ力を持つことは出来ない。その為、エンジンの性能のいずれか を特化する事において、初めて経済的かつ効率的なマシンを創り出すことが出来る(そうでなければ高額でエンジンを取り替えた方が効率がいい)。
 エンジンの勝負点は「最高速度」と「加速力」である。
 ここでFORKNERは「加速力」を選択する。最高速度は、ブースター稼働時間も長くそれに耐えうるブースターを作成するとなると、制作コスト、燃料効率共に、エンジンの強大化と大差なくなってしまう。そこで、短期間で大きな差を付ける「加速力」に重点を絞った。
 その為、FORKNERのブースターユニットは、加速時のみにしか使用されていない。しかし、このブースターユニットのお陰で、三代前のエンジンにして、最新のVelvet works並の性能を引き出すことに成功している。
 これに係る費用は、エンジン開発の1/12の開発費用と、エ ンジンのみの時の1.3倍の燃費増のみである。ダウンサイジングと高性能化、という事に最も情熱を燃やす同チームを表現するのに、これほど顕著な例は他には無いだろう。

フローターユニット:FresTex 9700 Underware

 顕著なまでの下方上昇型である。
 これはVelvet worksに対するアンチテーゼであると言う者もいる。しかし実際は定かではない。事実としてわかっていることは、Velvet worksのそれとは、まるで正反対の性能を持つということである。即ち、非常にDP素子享受率が高いというメリット、そしてバランスが不安定になるというデメリットがそれに当たる。少ないパワーで如何に早く機体を飛ばすか。それはエンジンの性能を、DP素子の享受率で補おうとする一つの結論だ。
 どんなに速いエンジンであっても、DP素子を十分に受け取れなければ出力は小さい。FORKNERは、最高出力が小さいエンジンであっても、DP素子の享受率を常に最高入力値に保っておけば、結果として速く飛ぶことが出来るという結論に達したのだ。が、その分機体は不安定である。
 FORKNERは、マシン性能をパイロットの腕で補おうとしている、まだ若き日のがむしゃらな少年のようなチームなのである。

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