2-3.C&M

 厳つい機体、Fomula highpowerd全機中3番目に大きな筐体。
 最高速トップの座を守るべく日夜奮闘するC&Mは何を思い、何を馳せるのだろうか。飽くなき挑戦心と男たちのプライドは、C&Mを最強の可能性を秘めたマシンに変貌させた。

エンジン:Arcturs 252II/Shooting Star

 エンジンにはArcturs社製のパワードロケットエンジン252IIを採用している。ArctursとC&Mチームは、既に竹馬の友と言えるほどの関係であり、Arctursの新作は、C&Mの為に有るものと言っても過言ではない。
 エンジンは電気推進式を採用している。プラズマの発生による、燃料の反応熱など比べ物にならないほどの高熱を利用し、超高速推進を実現する物である。宇宙開発で培った技術が凝縮された、地上では余りに強力なエンジンだ。しかし、電気推進の弱点として、とりわけ最初の抵抗対して弱 いという点が挙げられる。最高速度はその燃焼温度に依るところが多く、それ故最高速度は全機体中トップクラスである。しかし、加速に必要なパワー(≒比出力)が小さくなり、故に加速力は低下する結果となる。

トライスタビライザー

 C&Mの保有するマシンの特異な形状に惚れ込むファンも少なくない。全マシン中最も厳つく工業的なデザインの機体。Weimarのそれとは対照的な、何とも男性的なフォルムだ。
 Fomula highpowerdレースの黎明期であった2016年。このころ舞台はオーバルコース中心の、速度重視レースであった。他のチーム−今のチームと違い、COMPAS、BAHENS、CHAPARELLといったチーム−の機体もまた、C&Mと似た、厳ついものであったのだ。

 当時のマシンの特徴としては、直進安定性を重視した高速機が主流。緩やかなカーブと長い直線で構成されたコースにとって、C&Mもまた最高の機体だった。しかし時代は流れ、コースはカーブが多くなってくる。直進安定性を重視し、空力にも直進固定ラインを採っていたC&M機は徐々に事故が多発するようになってくる。直進安定性を高めるための側板が旋回時の空力を乱し、カーブ時に機体を著しく不安定にさせるのである。
 自体を重く見たC&Mは急遽対策を講じる。しかしそこには、最高速No1のプライドが大きくのしかかっていた。
 上下、左右に機体を大まかに分割することにより、高速な直進空気を機体間に通すことで極限までの直進安定性と乱流抵抗の低下を実現させた機体…。カーブ安定性を持たせるには、このアーキテクチャを捨て去らねばならない。
 C&Mはそれを拒否する結論を出した。機体形状、特性はそのままにして、カーブ時の安定性を改善する方法。それを実現する、トライスタビライザー計画が発動されたのだ。
 あまり知られていないが、C&M機はフローターユニットが大小3基搭載されている。しかし、常に使用しているのは中央部のパワーユニットのみ。残りの2つはカーブを曲がるときにのみ、浮力可変で使われる。機体の傾きを微小時間で察知し、それを補正するような形で働くフローターユニット。この微妙なコントロールは人の手ではもはや不可能であり、それ専用のOSを搭載し、常に管理しているのだ。
 これにより、C&M機は直線、カーブ共に最高の安定性を誇る機体に変身した。もちろん、これによる欠点もまた存在する。が、C&Mチームにとって、それは最高速の称号を捨てる事に比べれば、些細なことでしかなかったのだろう。
 旋回性能の著しい低下などというものは、最高速のマシンと、パイロットのライン読みにより全て解決できるのだから。


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