2-9.SANCTUARY

 本来参加できる資格を剥奪されているはずのチーム、サンクチュアリ。普段はコースの影からひっ そりとレースを伺うこのチームは、一度コースに出れば無敵の性能を誇る、文字通り影の覇者なのである。
 サンクチュアリは厳密にはチームではない。Fomula highpowerdオフィシャルの機体の総称である。
 これらのマシンは、普段はピットにおり、万一レース中にレースマシンがリタイアなどした時に出動、援護するマシン達なのである。 そして、これらの機体には2種類の異なるコンセプトチームが存在する。
HRESVELGR Velvetworks

 まず1機目、フレースヴェルグについてである。
 フレースヴェルグは、チームベルベットワークスによって設計された、ベルベット機の兄貴分である。兄貴と言うよりは双子という方が相応しく、エンジン、 機体形状、素材など、どれをとっても同じものを使用している。
 ベルベットワークスと異なる 点は、その大きさと、エンジンのリミット出力の上限である。大きさはベルベット機の1.2倍ほどのサイズ、エンジンは、AM-F341i/foxtrotを使用している。機体の重量が 災いし、加速性能は本家ベルベット機にはやや劣るが、その最高速度はベルベット機より約500wphも高い値を出す。
 エンジンfoxtrotはベルベット用に開発されたものだが、諸事情によりベルベット機ではエンジンに弱いリミッターがつけられている。それを取っ払うと、これだ けの能力が引き出されるのだ。
CALADRIUS FORKNER

 驚異のスピードと旋回性能を誇るカラドリウス。
 このマシンの設計を行ったのは、新規チームフォークナーであると知ったら、驚かない者はいないだろう。このマシンはフォークナー開発陣によって設計された、本来は「夢の機体」だったのである。
 実際のフォークナー機は予算の関係等により、開発陣の意図したものが出来なかった。これは何処のチームでも起こりうる現象ではあるのだが、フォークナーは特に予算的には厳しかったようにも思える。その為か否か、 フォークナー開発陣は、実際には創らない(筈だった)夢の機体、カラドリウスの図面を趣味で引き始めたのである。
特徴としてはまず、無人機であること、エンジンに最新のA-max社製 を使用すること、金に糸目を付けない超軽量素材の贅沢な使用などが挙げられる。
 しかし、ある時この機体が具現化される時が訪れる。それは、Fomula highpowerd協会がレース保守用のマシンを必要としていたために起こった現象である。
 レースの保守を完璧にこなすには、それこそ全ての機体よりも性能の良いマシンでなければダメだ。また、人が乗っていれば、その人の限界にマシンのコントロール限界値を設定する必要があるため、無人が好まれた。
こうした条件に全て適合したマシン、カラドリウスフォークナーに矛先が向いたのだ。一から設計するには経費も時間もかかる、それなら信用のおけるfomula highpowerd参加チームの設計によるものを買い取るのが最も妥当であるのは、誰が見ても明らかであろう。
 実際にはエンジンにA-max AM-A351i/alphaβを搭載する。βとは即ち試作版(プロトタイプ)であり、量産品で無いことを意味している。これは現在最新鋭といわれているベルベット機の ATREXエンジンの上をいくもので、プラズマ熱の効率と温度を極限まで上げ、駆動部無しで低速域からダッシュがかけられるピュアなラムジェットエンジン「VFエンジン」と言われ るものである。
 このエンジンの仕様等はまだ全く公開されておらず、どのチームも興味の眼差しを向けている。
 人が乗らないため、Security serviceを始めとする各種ヒューマンインターフェイスは省くことが出来、これにより超小型、超軽量のマシンを実現している。 人が乗る機体では到底考えられない、フローターユニットが上からでも下からでも見える形状をしているのは、こういった理由からなのである。

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