1-1.フローターユニット

 フローターユニットは、Fomula highpowerd機の中でも最も重要な部分のひとつだ。このフロー ターユニットが無ければ、マシンの大きさは、優に5〜7倍ものサイズになってしまう(Xenumに関しては何と21倍!)フローターユニットは、外から見れば単なる丸い平ドーム上の物体でしかないが、それはフロ ーターユニットの外観であり、真の姿ではない。フローターユニットはそのドームの中にある、機体中でも特に高度でかつ精密な技 術を要する円盤そのものなのだ。
 円盤の回転は、Fomula highpowerd機体機構の花形とも言える「ロケットエンジン」のパワーを借りて行うことが一般的である。当然機体の浮力はエンジンの回転数に依存することになる。その為、機体の速度が0に近づく程限りなく浮力が消滅することは、やむを得ない事なのである。

 この機構にも何機かの特例機が存在する。明科重工の採用する「Air Ray III」「Air Ray IV」 などの機体は、中でも最も特徴的な違いを擁する機体だ。
 これら2機種においては、メインエンジンにバイリアス重工のB−3を搭載している。B−3は軽量かつ高速なエンジンではあるが、如何せんパワー不足の帰来がある。その為、Air Ray 機では「セパレートディスパーズ」という機構を採用している。
 エンジンには本来の目的である推進力のみを担当してもらいフロ ーターユニットの回転力は別のエンジンが担っているのである。

 コスト的には高い事、そして重量が増す事、OSの処理が複雑になることで非効率であると殆どの技術者は断言しているが、その反面、スピードが落ちても急激に浮力を失うことがないという、安全面での長所も持ち備えている方式だ。
 明科重工ではこの円盤を回すセカンドエンジンに、同社製超伝導コイルコア「MagneFork-γ」を採用している。このような非接触型のフローターユニットは、明科重工ただ一チームのみだ。他のチームは差こそあれ、シャフトを使用したおおよそ原始的な機構で回転をさせている。

 またフローターユニットは一つの大きな問題を抱えている。それは、防護と吸気の矛盾である。
 超高速で回転するフローターユニットは、それ自体が莫大な熱量を持つこととなる。密閉した 空間で回転させた場合、それはシェルダストーンの融点を超え、自らをメルトダウンしてしまう結果になりかねない。その為必ず必要なのが吸気である。吸気をすればメルトダウンの危険性は避けられる。しかし、過酷な条件下で開催されるFomula highpowerd機にとって、半端な吸気機構はかえって重大な危機を呼び起こすこととなる。超高速の機体にとっては、どんなに小さなものであっても莫大なパワーを持った物体だ。それが超精密機器であるフローターユニッ トに侵入したらどうなるか、容易に想像つくことだろう。その為フローターユニットの吸気機構は、それ自体が一つの最先端技術なのである。
 吸気を征する者はFomula highpowerdを征する、といわれるほどに、この吸気は重要な要素なのだ。
 多くのチームでは、この機構としてVectored science社のターボフィルターを採用している。4重の交互左右に回転するリング状のチップタービンで減速し、フィルターを通して空気を採り入れている。


<<メカニカル・ガイドトップへ
<<フレヴェファントップへ
<<トップへ

Next>>