レガルザイン─。
精霊マナという存在と、その力である源素で満たされた世界。
全ての形あるものは源素で構成され、マナの意思と加護の元、人々は暮らしていた。
世界の人々にとって風や木などの自然存在と同じであるマナ。
普通の人々には感じることぐらいしかできない存在。
そんなマナを知り、友人のように話すことができる人々がいた。
彼らはマナの能力とその力である源素を使って、なにもないところに物を創りだすという能力を持つ。
その力を極めれば、希少である「金」ですら作り出せる人々。
彼らは、「錬金術士」─そう呼ばれていた。

高名な錬金術士であった祖母ダフネに育てられた17歳の少年クレイン・キースリンク。
彼女の元で錬金術を学んだ彼は、彼女の安らかな死を機会に、彼女を越えるような錬金術士を目指し、友人である木のマナ─ポポと旅をしていた。

そして南エスビオール地方のとある森─。
マナの力に引かれこの地にやってきたクレインは、思いがけず強力な魔物に襲われる。
マナの力も尽き窮地に陥ったクレインを助けたのは、彼と同じぐらいの歳のリイタという少女だった。
近くの街カボックで魔物を狩る仕事をしているという彼女。
危険だから一緒に行こうという彼女の申し出を、自尊心からか冷たく断るクレイン。
しかし彼女と別れてから、助けてもらった礼も素直に言えなかったと、ひどく落ち込むのであった。

 

やがて森を抜け、大きく切り開かれた崖の上から、遠くエスビオール平野を見渡すクレイン。
その視線に飛び込んできたのは、緩やかな平野に角のように明らかに不自然に飛び出した山、その山頂にある都市のようなもの。
それこそが不可侵の天空都市として、この地方で有名なアバンベリーであった。

 

クレインとリイタ、少年と少女。
やがて閉ざされた天への扉を叩き、
この天空都市を目指すことになる二人は、
まだその運命を知らなかった─。